Maison’s d’en France社

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Saint Gobain社

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Masions Ericlo社

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パリ住宅視察 Saint Gobain社

パリからフランスの特急TGV(フランス国鉄で新幹線よりも早い高速鉄道)に乗って、1時間半かけてアンジェという町に行きました。ここで、フランスのエコ技術をすべて取り入れた家を見に行きました。

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フランスのエコ事情の背景

フランス市民の環境保護の必要性に対する意識は、1986年チェルノブイリ原発事故、地球温暖化に対する温室ガス排出の影響への懸念を背景に高まりました。

環境グルネル(Grenelle de I‘Environnement)会議2007年

環境問題にフランス市民の目を向けさせるきっかけになった会議で、フランスの環境政策を打ち出した。zu2.jpg

 →→→市民の環境問題への関心の表れ
 ・ごみの分別収集の増加(1995年~07年までに非分別収集74%→52%)
 ・再生可能エネルギーの生産量の増加(04年~08年までに年平均26.5%増加)
 ・低公害車の販売の増加(2009年のフランスの新車販売1台当たりのCO2排出量が過去最低)

Grenelle I Law (規定された目標)/ Grenelle Ⅱ Law(規定を実施)

環境グルネルの成果の実現に関する法律(2009ー2010年)
<建築業界の目標>
・2012年末までにすべての新築建築物に『低消費建築』規格を適用
(冷暖房・換気・照明・給湯等に消費される一次エネルギーの消費量を、1平方メートル当たり年間50KW以下に抑える)
・2020年までに既存建築物のエネルギー消費を38%削減する
・大胆な建築物熱効果改善:2013年以降、毎年40万棟を全面改修。
・省エネルギー投資を促進させるための資金調達を目的に、銀行業界及び保険業界との合意締結を進める。
・若者の雇用促進緊急施策を、環境関連の職業、特に建築業界での環境関連の職業に結び付ける。

政策の抜粋
①電力・エネルギー政策zu6.jpg
・再生可能エネルギーの消費量を増やす
→→→太陽光パネルの建物への設置と、生産されたエネルギーの優遇価格による販売など
・エネルギー供給事業者は、省エネ証明書を取得しなければならない
→→→建築物の断熱を強化する工事や工夫、電力消費量の少ない電球の取付、
    太陽光エネルギーを利用したシステムの設置、トラック運転手への
    低燃費運転研修の実施をすることで省エネ証明書が授与される
すでにやっていること:白熱電球の販売を取りやめ、低エネルギー消費電球の販売促進

②廃棄物処理政策
・廃棄物を減らすだけでなく、リサイクル率を上げる。
すでにやっていること:簡易包装にし、ごみを削減する動き

③交通政策
20年までにCO2の排出量を減らす。クリーンな自動車の購入に対して補助金が出る
すでにやっていること:フランスの郵便配達員は、全員がエコ運転研修を受けているそうです。

④住宅・建築政策
・居住者の健康を保護するために、揮発性汚染物質の揮発量の表示を義務付け
・住宅や、オフィスでのエネルギー消費を2020年までに38%減少させる
→→→建築物のエネルギー効率規則、エネルギー性能評価、HPEラベル(高エネルギー性能ラベル)各種奨励制度など、様々な政策措置がとられている。
すでにやっていること:不動産取引業関係者は、売買・賃貸の不動産広告上にて、エネルギー・気候ラベルの表示を拡大するといった取り組みも行っています。

建築物のエネルギー効率促進のため、Eco-pret-a-taux zeroゼロ金利エコ融資も行っている。
これは、その名の通り、無利息でお金を借りられるシステムです。
エネルギー効率の改善を目的とした工事に対しては、最大10年間の無利息融資を受けることができるそうです。

グリーン・ビルディング
新築のグレーン・ビルディングは、HPEラベルやHPEラベルを上回る高環境品質基準(HQE)等の認証も受けられる。

日本

日本でも、2020年までにすべての新築住宅に省エネ基準をクリアすることを義務付けようとしています。
20年前と比べて、日本の住宅の省エネ性能は向上していますが、新たな電化製品の普及等で、エネルギー消費量は増加しています。
日本でも、いかにエネルギー消費量を抑え、再生可能エネルギー(自然の営みから得られ、継続して利用できるエネルギー)を利用していけるかが、課題になっています。

SAINT GOBAIN社訪問 ~フランスのエコ技術をすべて取り入れた家~

50-2.jpgSAINT GOBAINサンゴバ社は、消費者にエコの材料を紹介する会社で、私たちは、その各社の代表的なエコ技術を兼ね備えたモデルハウスを見せていただくことになりました。これは、2020年のフランスが掲げているエコ基準をクリアし、さらに自然エネルギーをうまく活用することで、消費電力を削減している住宅です。

右のモデルハウスは、㎡あたり約1500€+税金
(1€=140円で計算すると210,000円なので、坪あたり約693,000円程度)
この辺りに住む方の平均収入が€1500(約210,000円)/月




エコ仕様①
外気を取り入れ、地熱で空気を暖めたり冷やしたりして、部屋に取り込むシステム

腐食しないように、表面を特殊加工した配管を、地上より2m深いところに、長さ42mを(長さは現場ごとに決める)埋めます。お庭にある吸い込み口から外気を取り入れ、その配管を通しながら夏は冷やして、冬は暖めた空気を家の中に取り込むシステムです。私たちが訪れた日は、外気温は12℃でしたが、地中の中を通って19℃まで温められた空気が室内に取り込まれ、各部屋に送られます。
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実際に工事前に、15日かけて、現地で陽射しの向きや温度などの調査をしてから建物の計画をするそうです。

こちらの家では、これ以外にパネルヒーターで個別に暖房をしておりました。

エコ仕様②
窓は、4㎜の合わせガラスのペアガラスになっておりました。間には、アルゴンガスが入っております。熱伝導を抑え、断熱効果を高めた窓になっておりました。

エコ仕様③
雨水を貯めて、利用できるシステム
この芝生のテラス部分の下には袋が設置してあり、降り注いだ雨は4tまで貯めることができます。そして、外部のお水に利用できるようになっています。

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屋根上には、日本と同じように太陽光と、
太陽エネルギーを利用して温水を作るパネルがのっていました。

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エコ仕様④
快適な高気密高断熱仕様。
zu1.jpg1階床下の断熱
スチールで出来た根太の間に、80㎜の厚みの断熱材を充填します。その上にOSBボード仕上げで床断熱をします。タイルはその上に直に敷きます。soto.jpg
(ボード上は、モルタルを塗らないことで、リノベーションする際に、リサイクルしやすいように造っているそうです)

外壁断熱
コーティング下地も兼ねた断熱材

屋根の断熱
54㎝もの厚みの断熱が入っている

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床下の断熱        室内間仕切壁の断熱

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アエロブルー(5㎜厚)を塗ることで、建材の継ぎ目を埋め、外気を遮断し、100%の高気密仕様にする。また、これのおかげで、仕上げる前に気密をチェックできるようになった。

※優れた断熱効果を期待するならば、住宅の壁・窓・床・屋根に、優れた断熱効果のある建材を使用し、高性能の換気システムと併用しなければ意味がありません。このモデルハウスには、に優れた断熱材を、家のいたるところで採用している。

60.jpgエコ仕様⑤
アトリウムの窓は明かりは通すが、熱が入りにくい構造になっていました。
真夏で外部が35℃くらいでも、この中は27℃くらいまでしか温度が上がらないそうです。
また、冬の外部が0℃の時、中が12℃くらいという快適な空間になっている。

エコ仕様⑥
断熱効果の高い構造体
躯体は、レンガとセメントを混ぜたブロックで出来ています。
このブロックは通常のコンクリートブロックの2.5倍の断熱効果があります。


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まだまだ、色々ありますが特に断熱ということに非常に力を入れているようです。
日本も、補助金を出したりして、エコ仕様がもっと普及するように力を入れている分野だと思います。